僕の代わりに彼女は死んでくれる。
少年と少女が自殺現場で出会いました。






その日。僕は決意した。

もう何年も繰り返される悪夢から逃れる為なら、もう僕の周りに味方など居ないなら、生きていけるだけの気力も目標も、無いなら。



―――自殺しよう。



簡単に何も考えずに、あっという間に。どうやったらいいか。その方法ばかりが頭を占める。



逃げたかった。

学校、規則、関係、立場、価値、期待から。



夜風が頬を撫でる。胸が締め付けられた。カチカチ、合わさり音を立てて鳴る歯に自分が震えていると分かった。



「ここから―――飛び降りれば…」



自殺は―――究極、絶対的な現実逃避。



もう堪えれないんだ。何処まで続くか分からない絶望感は何をしても消せなくて。

それならいっそ自分ごと消えてしまおう。



どうせ親も、出来損ないの僕は不必要。



―――さようなら。



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