路(ミチ)しるべ
私が初めて付き合った人。
中学1年の時。同じバスケ部の同級生。名前は『ダイサク』。

ダイサクに告ったのは私からだった。即答で「OK!」の返事。
かなりうれしかった。
あの頃はコレといった悩みもなかったし、人生が楽しかった。少しおおげさかも知れないけど、本当に嫌いな学校が楽しくてしかたなかったの。
それから付き合い出してちょうど半年くらいが過ぎた時ダイサクとキスをした。
2階校舎とへ続く階段の途中で。
もちろん私は初めてのキスで緊張しまくりだった。
足がカクカクなったのを覚えてる。頭の中が真っ白になったのも覚えてる。
ファーストキスだなんてニヤけていたっけかなっ…。
だけどその後、何日かたって私達は別れた。
理由は聞いていない。何となく気付いていたから。
だけど、聞きたくもないのに風のウワサで色々と耳にした。


私と付き合い始めた時、他の中学に彼女がいた事。

私と付き合いながらも3年の先輩と付き合ってたって事。

バスケ部の先輩とはセフレ的な関係にあったとか。


他にも色々と聞いてしまったウワサ話。
『美咲、大丈夫?』とか『早く忘れて次の男見つけなっ!』とか回りの皆に励まされ慰められた。
だけど、涙1つ流れなかった。
その時は何故こんなにも冷静でいられるのだろうかって怖いくらい思った。
傷ついていないと言えば嘘になる。だけど辛くも悲しくもなかった。
今、考えてみれば何故だったのか少しだけわかる。
きっと『好き』って意味を勘違いしていたからなんだ。
私はダイサクの事が大好きだった。だけどそれは
“恋人として好き”じゃなくてきっと“友達として好き”だったんだ。


そのあと、3人の男と付き合った。だけど全部1週間ももたなかった。



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