ダイスキ。




あの時の気持ちを思い出すと、今でも涙ぐんでしまう。

ちょっとテンションは落ちたけど、今日は転校生がくるらしいし。


そうだっ!新しい1年も入ってくんじゃん。


イケメンはあたしのものー。
あたしは、イケメンのものー。


そんなことを考えながら歩いていると、ふと誰かにぶつかってしまった。


「キャッ、ごめんなさい。」

相手は、男だった。

「…あ。いえ、こっちも前みてなかったんで…」

そう聞いて顔を上げると、やばい…。

彼は金髪なのに黒ぶちメガネをかけていて、どっからどうみても正真正銘“イケメン”だった。

あまりにも見とれてしまって、彼が不思議そうにというか半分気味悪がりながらこっちを見ている。

とっさにあたしは、

「あ、ごめんなさい。えーと…、あの…名前!名前教えて下さい!」


「え―――…、あ…吉田拓哉です…けど?」

“吉田拓哉”くんという彼はなかなかあたしの名前を聞いてくれない。だから…

「私!私は、瀬戸優美っていうの!」


「あ…、そっすか…。」



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