Deep sea Girl
「夕日、綺麗だね」
「うん」
そういい、今は海辺。夕日が海の中へ沈むみたいだ。夕日は私と手をつないだまま少し前を歩いている愁ちゃんをオレンジ色に照らし出す。
「………、今日何の日か知ってる?」
「ぇ、ああ、付き合って二年の記念日でしょ?」
「うん」
「もう、二年なんだね」
「早いね」
「もうあと、8ヶ月もしたら高校も卒業して離れ離れになる」
「……」
話の途中で愁ちゃんが振り向く。
「俺、さ」
「………」
「卒業しても、奈緒と離れたくないし。奈緒とずっとに生涯を共にしたい」
「私もだよ」
「……、だから、さ」
「…」
「俺と結婚して欲しい」
「…け、っこん?」
「そう、でも…俺、まだガキだからちゃんと働けないし一緒に暮らすこともままならないから、俺がきちんと職を持って奈緒を幸せに出来る時が来たら結婚して欲しいんだ」
「愁、ちゃん…」
「嫌、かな?…」
不安気に私の顔色を窺う愁ちゃんを見て微笑んでしまう。
「…愁ちゃん、役に立てないかもしれないけどよろしくお願いします…って、わぁっ!!」
そういい丁寧にお辞儀をして顔をあげれば勢い良く愁ちゃんに抱きつかれた。
「良かった、断られたら俺絶対死んでた」
「大袈裟だよ」
「そんなことない、良かった、本当に良かった」
「愁ちゃん、」
「奈緒、好き」
「私も大好きだよ」
そういえばどちらともなく唇を重ねた。