空と天使と悪魔くん



「あなたのお父さんはね…狂ってたのよ。話は長くなるけど、聞いてくれるかしら?」



「…はい」




その話は、衝撃的だった。


うちのお父さんはお母さんを愛していた。


でもそれは“狂った愛”だった。


男と話すと殴りかかり、


ちょっと手が触れただけでも


何回も手を洗わされ、


行動までも束縛されるようになった。


そんなとき、


神の使いがお母さんの元にやってきた。


「あなたは身ごもっています。その子を産んだ夜、『楽園』に来てもらいます。いいですね?」


ということを言うために…。


お母さん自身、神になることは避けられない運命だということは


分かっていた。


だからこそ、うちが生まれたことで


お母さんがいなくなることを


お父さんが知ったら…


と思っての決断だった―…











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