[SS]私達親子以上
「ゴメンナサイ」
自分を優先するなんてダメな母親だね私
でも、今は無理なの…恵さんの事しか考えられない。
「俺が傍に居るから」
″俺が傍に居るよ″
やっぱり親子だ。
涙と一緒に思い出がイッパイイッパイ溢れてくる。
″コンコンッ″
看護士さんかな?っと馨君がドアを開けた。
「あっ…と、瀬戸口さん…でしたっけ?」
「あぁ、馨君だよね?随分見ない内に大きくなったね……」
私に目線を移す恵さんと同年代位の男の人
「貴女が“茉”さんだね?
こんな時にゴメンね?無神経なんだけど、面倒な事になりそうだからココで遺言の開封をしていいかい?」
面倒な事?
「アイツ?」
「勘が良いね。そう、前々から言われていたみたいだよ」
アイツ?前々?
「俺の実母」
何を言われていたの?
「話し合いが未だだったのかな?
恵は病気だったんだ」
他人からの真実に優しさと切なさが押し寄せてきた。