[SS]私達親子以上
~馨side~
「あっ馨君?瀬戸口です。今、茉ちゃん来たよ?」
「そうですか。良かった」
「2人共上手くいってないの?」
どんな意味でだ?
「何でですか?」
「茉ちゃんが不動産を紹介してくれって頼みに来たから…恵が馨君に託した訳なんか俺には理解できないけど、あの子を本当に好きなら離しちゃダメだよ~。じゃぁね!」
「……バレてたか…人が良すぎるから早死にしたんだよ。茉を譲って馬鹿だなオヤジは…」
そろそろ帰ってくるのか。
門で待ってたら直ぐ現れた茉を叱って瀬戸口さんに聞いた事は黙ってる事にした。
「馨…あのね…私ね「今更親子に戻ろうって?」
「!?」
「…茉が一番人の気持ち考えてないんじゃん」
急かすつもりはない……ハズだった。
家に入りジャケットを持ち俺は家を出た。
時間なんてどんだけかかっても良かった。
いつかはあの笑顔を俺に向けてくれたらそれで。
無理だったみたいだな。
街をぶらついていた。
行く宛もないなんてな~。
「あれっ高城さん?」
後ろから聞いた声が…。
牧さん?
「偶然ですね~」
「1人で飲んでんの?」
良く行くショットバーに行ったら新人が居た。
「浅倉さん!久しぶりだね~最近来てくれないからどうしたんだろうって思ってたよ」
マスターとは仲良しだ。
「そう言えば、皆は何で高城さんの事“浅倉”さんって言うんですか?」
「あぁ言ってなかったか?浅倉は母親の姓で高城は父親の姓で、ちょっとあって父親の姓に入ったんだよ」
「そうなんですか…木村さんは?」
ピクッと反応してしまった。
「木村?」
「誰が視ても両想いだと?」
両想い…ねぇ~
「期待なんかするもんじゃないし、いいオジサンにもたしちゃダメだよ」
茉はあの家から出て行く気で居る
「じゃあ…」
牧さんの声は微かに振るえてた。