[SS]私達親子以上
気分悪い
風邪かなぁ?
今日は検診日だから先生に聞いてみよ。
薬飲めないし…妊婦って大変だ。
お弁当も食べたくないな~。
悪阻カンバーックって感じ。
机にうつ伏せになってたら廊下から
「高城さん、高橋さん!これからランチですか?ご一緒して良いですか?」
「おっ!牧ちゃんじゃん?行こう行こう!お勧めの店がすぐそこに有るんだよ~なっ?浅倉?」
「まぁ」
「連れて行って下さい!」
アソコの定食屋さんか…。
おじちゃんとおばちゃん元気かな?
悪阻が終わってからもまだいけてない。
食欲不振で体重も変わらない。
赤ちゃんも小さいらしい。
眠気は半端なくある。
ママが居たら相談できたのに…。
あっ、課長に辞表出すの忘れてた。
急に立ち上がったせいか貧血気味だったせいか目の前が暗くなって倒れた。
遠くで今井さんと村瀬さんの声が聞こえたような…。
目が覚めたら真っ白な世界だった。
「茉」
目の前には恵さんとママとパパが居た。
笑ってた。
貧血で死ぬってかなり馬鹿らしい。
「恵さんの子供も死なせちゃった」
皆の側まで来た。
「茉、ごめんな?」
パパ…
「ゴメンね茉、もっと一緒に何かやりたかったなぁ。仕事にかまけて茉との時間削ってダメな母親だったね…だから私達の孫には沢山愛情をあげて?」
「見たかったな孫」
パパ、ママ
「生前、恵さんがねお墓に挨拶に来た事があったの」
えっ?いつ?
「前にお墓の場所聞いたでしょ?」
結婚する少し前だったかな?
「結婚のお許しを貰いに来たのよ」
ママが頬を赤らめた。
「“茉は半端なくモテるから今すぐものにしていいですか?”って。恵さん顔に似合わず積極的でね」
うん。知ってる。
「でもね~“俺の息子も茉の事好きなんです。俺、先が短いからもし馨に気持ちを持ってかれても暖かく見守って下さい”って…」
恵さんが私の頭を優しく撫でた。
「恵さん」
「ごめんな?今まで縛っちゃって…子供まで遺しちゃって。馨も甘え下手だし大変だと思うけど幸せにしてくれないか?」
何言ってるの?
「時間みたいだ」
パパが言った。
「何処に行くの?」
薄れてく3人
「心残りだったから私達…だからお願いしたの。幸せにね茉」
「ママ?」
「茉が幸せだったら俺らは幸せだよ」
「パパ?」
「好きな気持ちは変わらない、だけど俺じゃ茉を抱き締めてもやれないから馨と幸せになっていつか、こっちに来たら俺と幸せになってくれないかな?」
ヒューヒューと冷やかす両親の目の前で最後のキスをして現実に戻ってきた。