最カノ[短編]
「軍曹さぁぁ〜〜ん!」
 追い討ちをかけるように横で心菜が声をあげた。

 あーっ! もう! わかったよ、やればいいんだろやれば!

「タ○マ二等兵! 我輩、カレーが食べたいでありますっ!」
 もうこうなったらやけくそだ!
「わぁ、さすが軍曹さんですぅ〜僕もカレーが食べたかったんですぅ! やっぱり軍曹さんは僕の大好きな軍曹さんですぅ〜〜」
 そう言いながら、嬉しそうに心菜が俺に身体を寄せた。

 この時俺は不覚にも思ってしまったんだ。……たまにはケロ○になんのも悪くないかな、なんて。
 そもそもそこで気を許してしまったのがいけなかった。それからは顔を合わせる度にケロ○をやらされ、俺は否応なしにケロ○についてかなり詳しくなってしまった。
 どんどんエスカレートする心菜に、俺のペースは毎度狂わされっぱなし。

 やはり俺はとんだ過ちを犯してしまったんだ。
 もう二度と心菜の戯言になんか乗せられないぞ! と心の中で固く決意しながら、暗がりの中“いばる”とやらを覚え、小さな鼻を膨らませちょっとばかり偉そうにしている心菜の顔を眺めた。



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