Material Boy
店を出たところで安藤とは別れた。


彼の前向きさに助けられた気がする。


そういえば遥火は戻ってこなかった。


いつも一緒だったからひとり帰るのは変な気分。


アパ-トを見上げると、はるかの部屋に灯りがついていた。




「何だ、直帰するならメ-ルぐらいくれればいいのに。」


そう思いながらも、


お互いの気持ちは確かめ合っていても、


別に付き合ってるわけでもなんでもない関係。


そんな風に束縛する権利なんかないのだと自嘲した。


遥火の部屋の前に立っていたが、チャイムは押せなかった。


『どこに行ってたの?何してたの?どうだったの?』


質問攻めにしそうな自分が嫌だった。
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