Material Boy
山根があんまり真面目な顔をして言うので、

否定もせずに彼の話に聞き入った。


「実は、僕ついこの間彼女と別れまして、社内恋愛だったんです。

 それも同じ部署で、席も隣同士で。ちょうど鮎川さんたちみたいな。

 結婚する話まで出てたんですけどね。」


「それがどうして?」


「ちょっとした行き違いですよ、

 理由なんか忘れちゃうぐらいくだらないことだったと思います。

 普通の恋人なら、喧嘩したって、頭冷やしてから謝ったり出来るでしょ。

 でも、会社で近くにいると、喧嘩してても

 平然としてなくちゃいけなくて、フェア-もあったから忙しくて、

 彼女とすれば、悪いとなんて思ってもいないんだって、

 仲直りする気もないんだって感じちゃったらしくて、

 ツンケンする態度に俺もつい頭に来て大喧嘩。

 気がついたら別れる話になっちゃって、

 さすがの俺も焦って謝ったけど、

 もう遅いって。取り合ってもくれなかった。

 で、別れたあとも、同じ職場に居るのきつくて、

 
 ここを希望したらすんなり通って今に至るわけです。」


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