Material Boy
「山根さんだっけ、悪いけどちょっとだけ、いいかな?」


「え、ああ、ちょっと資料室行ってきます。」

山根くんは

「ゆっくり戻るから。」と耳打ちして

席を立った。


遥火は、私の後ろから首に手を回して、

髪にキスしながら、


「二課の課長が向こうの様子を見たいって、

 牧口って人が、課長の世話係らしいけどね。

 ホントは野乃と行きたかったのにな。

 向こうの友達とか合わせたいのに。

 仕事だからしょうがないかぁ。

 休み取れたら、ぜってぇ連れてくからな。」

優しい笑顔を浮かべた。


遥火は私ががっかりした顔見て、

そう言ってるんだと思う。

そんなふうに気を使わせるなんて、

なんか情けない。




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