Material Boy
長い長いキスのあと、

「つづきは家帰ってからな。」

悪戯そうな顔して笑う。


「是非そうしてくれる?」

呆れた声出した室長が、ドアの脇に立っていた。


「場所を考えてよね遥火、

 山根さんがいつまでも戻れなくて困ってるでしょ。」


「見てたのかよいちご、悪趣味だな?邪魔すんなよ。」


「今来たの。社内恋愛はこんなふうに堂々としちゃダメなのよ遥火。」


「お前が俺たちを一週間も引き離すからだろ。」


「しょうがないわよ、第2営業部の課長が、

 あなたの同行が条件でこの企画が進んでるのよ。」


「ったく、ムカつくあの課長。」

二人の会話に混ざることなく、野乃は唯々赤くなって俯いていた。

なんて大胆なことしてたんだろう。

私はこういうの注意する側だったのに。
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