Material Boy
歩きながら鼻歌が出ているのに気がついて、

野乃は自嘲した。

どれだけ現金ないきものなのだろう。


彼は、熱を出してあんなに苦しそうなのに。


「何があったの?遥火は私に話してくれるかな?」

一人で呟きながら、

急に不安になる自分がいた。


今まで一度だって、野乃を

自分から遠ざけるなんてしたことなかった。


「私が邪魔になったとか?」


言葉に出してみてさらに不安は大きなものになった。
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