Material Boy
「お迎えにあがりました姫様。」

わっびっくりしたあ。

「はっ遥火ぁ?なんで?」

「今帰ったって、牧口さんから電話あったから。」

「迎えに?」

「うん、野乃一人で夜道は心配だから。」

「日本はアメリカほど治安悪くないから大丈夫なのに。」

遥火はふんっと鼻から息を漏らして、

「こうして一緒にいる時間大事じゃん。」

そう言って指を絡めた。

「あ…うん、…だね。」

「俺さ、今度の仕事終わったら…」

「ん?」

「イヤなんでもないわ、星綺麗だな~」

「うん。二人でこんなふうに見るのはじめて。」


私たちは二人ならんで

空を見上げた。

満天の星があたしたちを見下ろしていた。


こんな、なんでもないことがこんなに嬉しい。

人を好きになるってすごく不思議。




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