Material Boy
「おい」

そんな野乃に、声を掛けたのは、遥火だった。

「お前、いちごのスト-カ-か?」

「は?」

「さっきからニヤニヤしながら、ずっといちごを目で追ってるだろ。

 そういう趣味なのか?」

「なっ、何言ってるのよ、そんなわけないでしょ。」

「ふ-ん」

面白くなさそうな顔して窓の外に視線を移した。

野乃は、この男の存在をすっかり忘れていたことに気がついた。

「あの、滝沢さん。」

「何だ?」

「滝沢さんはどんな風に室長達とお知り合いになったんですか?」

室長はスカウトしてきたと言っていた。

「道端で、いちごを拾った。」

「拾った?」

「正確には迷子だった。

 子どもだと思ったら結婚してるし、

 守貴が俺の作品気に入ってくれて、

 いちごに日本に戻って会社に来いって誘われたんだ。」



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