Material Boy
「そんな事で、良く戻ってきましたね。

 どう見たって、室長は学生だし、信じるなんてありえない。

 詐欺とか嘘だとかだったらどうするんですか?」

「あの二人なら、信じてみてもいいかと思っちゃうだろ。」

「ああ、、。」

楽しそうに談笑しながら、食卓を用意する室長夫婦と母親に目を向けて、

ぼんやりと、この場にいられるだけでも幸せで、心地いいと思った。

「そうだ、俺、明日は社長たちに会ったりするんですぐには、

 仕事に入れないから、渡しとく。」

そういうと部屋の隅に置いてあったス-ツケ-スをゴロゴロと持ってきた。

「ス-ツケ-スですか?」

「中は俺が気に入って買い取ってきたデザインと作品。

 作者の名簿とデ-タも入ってっからファイリングしといて、。」

「はあ?」

「いちごから、あんたが今、この企画やってるって聞いてるけど?」

「そうです。」

室長に言われて、2週間前から手掛けている野乃の企画が

形になるかもしれない。

余りにも驚いて言葉が出なかった。

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