Material Boy
「室長は、行かれないんですか?」

「ごめんなさい、さすがに午後の講義は抜け出せなくて。

 新婚旅行で、結構休んじゃったしね。」

室長は、申し訳ない顔をしていたが、

それでいいのかと、内心腹立たしかった。

野乃の配属先、「企画準備室」は

室長の鳴海いちごと2名のみの小さな部署だ。

この室長まだ大学1年なのだ。

しかも3月に高校卒業と同時に結婚した新婚で、

このゴ-ルデンウィ-クには新婚旅行に行く始末。

なぜ、そんな学生が企業の室長なのか、

それは、副社長の娘だから。

同族会社の、ゆるい体制はこんなことすらまかり通ってしまうのだ。

こんないい加減な人事を命令しても、上層部は誰も何も言わない。

要するに、親族揃って、彼女を溺愛しているのだ。





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