Material Boy
ふと、

遥火は手を止めて私に話しかけた。


「たかきと言っていた。」


「は?」


「祓った奴。知り合いだろ。」


「まさか…そんな…。孝樹くん?」



5年前交通事故で亡くなった幼馴染み。親戚の子だった。


「お前が好きだったんだろうな。5年ぐらいずっと傍にいたんじゃないか?

 勝手に祓っちゃったけど、傍にいてほしかったか?」


信じたくないけど、こんな誰にも言ってないことを口にできるなんて

信じざるを得ない。

野乃は首を振りながら


「判らない。でも、あなたの言ってることは信じた。」




ガチャ


「おはよう。」


室長が入ってきた。


「おはようございます。

野乃があいさつすると、

にっこりと笑いながら、


「ああ、さすがね、遥火の手に掛るとアレもちゃんと芸術ね!」


「はい。」


アレとは、昨日私達にとっては恐ろしいガラクタに見えてた物のことを

言いたいんだろうな
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