Material Boy
「ああ、野乃、これ、言ってた名簿と作品リストのデ-タ。」


遥火は、作品の陳列の手を止めて、

野乃にメモリ-カ-ドを手渡した。


「あ、はい。」


「あの、滝沢さん、会社では鮎川と呼んでください。」


「あ、そうなの?了解。」


「室長もお願いします。」


いきなり自分に振られた室長がクスッと笑って、


「あ、はい分かりました鮎川主任。」


と返してきて、初めて


「主任、、ああ、そうでした。」


主任の辞令が出てたことを思い出した。


今、自分が最も必要な事と言えば、

真っ先に思い浮かぶのは、

二人を普通の社会人として教育する係のような気がしてならない。

尤も、二人はそれを望んでいる訳ではないのだが。



「室長、企画書の方ですが、商店街の組合長との具体的な話し合いの時間を

 いただいたのでこれから行ってきたいのですが、いいですか?

 そのあと、今日中に企画の修正をして提出します。」


「そうですか、もちろんお願いします。もう、GOサインが出てるので

 相手の方には細かいことを伝えて貰っていいですよ、

 ああ、全体と店舗のデザインもしてもらうから、

 遥火、あ、と、、滝沢さん連れて行って案内して。」





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