Material Boy
安藤を玄関に送り出して、部屋に戻ると

さっきグ-グ-寝てた男が起き上がってビ-ルを飲んでいた。

「わあ!びっくりするじゃない。たぬきなの?」


「たぬきって動物がなんだって?」


「狸寝入りって寝たふりってことよ。」


「いや、ちょっと寝てたと思う、なんか話し声で目が覚めた。」


首に手を当てて頭を傾げる遥火を横目で見る。

さっきの話が聞かれてないみたいで

ホッとした。

カチャカチャと音を立てて

食器を洗っていると、


ふと気づくと遥火がやってきて後ろに立っていた。

水道を止めて

「どうしたの?」

振り向こうとした時

後ろからきゅっと抱きしめられた。

「ちょっと!」

肘でガンとお腹あたりをヒットした。

「て~っ信頼してないんだろ…あわよくばっていってたじゃないか。」


「聞いてたわね、卑怯者。

 ああでも言わないとまずいかと思ったの。

 多分、あの子私に興味あるみたいだったから。」
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