Material Boy
「へえ、随分余裕ある事言うんだ。

 あいついい男っぽいじゃん。」


「だから、本気になる前に引いて欲しいんじゃない。」


「それって、自惚れていいのかな。」



遥火の野乃をだきしめる腕にギュッと力が入って、


野乃がキュッと体を固くした。


「........」


返事の代わりに無言になる野乃の頬にチュッとキスをすると、


「離さなくていいんだよね。」


耳元で囁いて


くるっと自分の方向かせると


野乃は真っ赤になって固まっている。

しばらくを眺めて

フッと笑うと。


「ごちそうさま。」


一言いって部屋を出ていった。

へなへなとその場に座り込んだ野乃は

さっきはるかの触れた頬に手を当てながら。



「もぉ、、反則ぅ。」



お互いの気持ちを確認してからこんな風に接触することはなかった。

距離は前のままだったけど、心は近くにいる。

そんな関係を焦れったくもあり嬉しくもあった。


「はあ、今日眠れるのかなあ。」


1オクターブ高い音で心臓の音がうるさいほど鳴り続けていた。











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