Material Boy
スケッチしていた遥火のイメ-ジが形になっていく。


「人の力って凄いな。」


チェックをしながら、指示を出していた遥火が

野乃に気がつき声をかける。


「俺ひとりじゃここまで作り上げるのに何日もかかるのに、

 それぞれのイメ-ジで作り上がっていく。

 みんなのイメ-ジが重なって一つになっていく。

 俺が想像してたよりずっと鮮明に。

 これが人の力だって実感する。」


「滝沢さんの力よ。

 私と、室長の企画に滝沢さんが色をつけて

 形にしてくれた。夢みたい。」

ステ-ジを見上げている二人に、


「いよいよですね。」


後ろから組合長の仲野が声をかけた来た。


「仲野さん。我が儘言って前倒しで準備させてもらって

 ありがとうございます。」


「いやあ、これほどの物一晩じゃ出来上がりませんよね。

 明日は、ミニコミ誌とTV局の取材が入ることになりました。

 盛り上がりそうですよ。」

ほくほくと嬉しそうに話す中のさんに、

野乃は急に不安になる。


TV?盛り上がりすぎでしょ。


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