うさぎ と くま の物語 (完)
 

「………ヤバ…。梨乃の気持ちがわかる…」


「はい?」


何ゆえ、梨乃センパイ…?


考えを巡らせようとした瞬間、私の身体が傾いた。


「ひゃっ!?」


私の身体はは篠田センパイの胸の中にダイブ。


完全に私の全体重が篠田センパイに乗っていることに気付く。


ひっ!?


「あ、あのっ!センパイ…!重いでしょ!?」


「……………」


篠田センパイの返事はない。


センパイの腕は私の身体を支えるくらいの力しかかかってなくて、頑張れば離れられるけど…


私の身体の力が抜けてて、それもできない。


………それに、離れたく、ない。


篠田センパイの体温が心地いい。


ていうか、人間ビックリすると、ホントに力抜けるんだ…。


―――って、冷静に分析してる場合じゃないし!

 
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