こんなかたちではじまる恋
荒々しくあたしのスーツのボタンを外し、胸を揉む。



(痛い…)



思ってるのに怖くて口に出せない。



「さやかの体は隅々まで全部知ってるよ…」



そう言って胸を愛撫し出す。



でも、びっくりするくらい元カレは下手だった。
と言うか、当時とは変わってはない。
ただ、元カレより綾野の方が気持ちを込めて、大事にあたしを扱ってくれていた。



「さやか…気持ち良かったら声出していいんだよ?前はたくさん感じてくれたじゃないか」

「笑わせないで。全然気持ちよくないわ」

「強がるなって!ほら…これ、感じるだろ?」



言葉を交わせば交わすほど元カレにはがっかりさせられる。



ただ自分の欲求を満たしたいだけのこんな男に触られたって何とも思わない。
あたしは黙ったままだった。
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