こんなかたちではじまる恋

｢たまたまさやかが彼氏に振られたときに、あんな関係になって。強引にいけば何とかなるんじゃないかって。だけど思えば思うほど空回りばっかりで…。それに、さやかは気付いてないだろうけど、別れた彼氏のことまだ想ってるんだなって思うことが何度もあった。さやかを知れば知るほどあいつへの想いの大きさを思い知らされて好きだなんて言えなかった。｣


綾野はあたしの目を見て続けた。


｢曖昧な関係が続いたけど、どっかで俺のことを見てくれればって思った。だから、さやかから冷めたって言われたときはショックだったけどめちゃくちゃなことしてるのは俺だから、何も言えなかったんだ。｣




綾野がそんなふうに思ってくれているなんて気づかなかった。