こんなかたちではじまる恋
「宴会まではまだ時間あるので、またあとで」



そう言って綾野はあたしの部屋を出て行った。




「なん…なのよ…」



ヘナヘナっとその場にしゃがみこむ。



キスは、よけようと思えばよけられた。
さっきも、あの日の車の中でも。
だけど、綾野に見つめられると金縛りにあったみたいに体が動かない。
綾野の瞳から目をそらせない。
それがわかっていたからあたしは今まで綾野と目を合わすことをしなかった。
意識したわけじゃなくて、あたしの体が勝手にそうしてた。
< 35 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop