こんなかたちではじまる恋
「すいません、迷惑かけちゃったみたいで」


済まなそうに下田さんが言う。


「ううん。それより具合悪かったりしない?」

「大丈夫です」

「よかった。宴会まで時間あるみたいだから、今のうちにゆっくり休んでね」

「はい。宴会では飲み過ぎないように気をつけなきゃ」



そう言った下田さんの表情はまだどこか少女っぽさが残っていた。



「あのぉ…。ここまで月島さんが?」

「あはは!まさか。うちの社員の綾野さんがここまで運んできてくれたの」

「あ!あの背の高い。たまにうちの工場にも顔を出してくれるんです。あとでお礼をいわなきゃ」


下田さんに誘われ、温泉にのんびり浸かっていたらあっという間に宴会の時間になった。
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