こんなかたちではじまる恋
「で、その場は俺がうまくやり過ごして月島さんを送ろうとしたんですよ」



"うまくやり過ごす"
綾野らしさが出ていてなんだか無性に腹が立つ。
綾野はあたしのひとつ下の25歳。
大学を卒業して入社してきた。
入社して間もなく営業部での成績はトップ5に入るほどだった。
今ではトップ3を争う。
綾野が入ってきて営業部は活気づいたし、部長は大喜び。
こんなヤツだから、営業部にすごいやつが入ったと噂になるのは遅くはなかった。
仕事もなんなくスマートにこなす。
あたしは秘書だからそんなに営業部に関わることはないけれど、うちは大きな会社ではないから、それなりに営業部をサポートすることはある。
必要な書類を作成したり、手続きをしたり…。
最初はみんなわかりづらくて手こずる手続きも、綾野は一度教えただけでしっかり覚えた。
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