こんなかたちではじまる恋
(あれは、綾野の体温だったんだ…)



そう思うとなんだか切なくなる。
こういう感覚を求めてたのは、綾野じゃなくて彼氏。
でもそれをくれた人はあたしの想ってる人じゃなかった。





そんなことをぼんやり考えているうちに、その感覚はだんだんあたしから消えていった。




「いつまでもここにいるわけにはいかないので戻ります」




そう言って綾野はあたしの部屋から出て行った。



(自分勝手なヤツ)



頭ではそう思ってるのに、あたしの体はどこかでその先を期待していた。
自分の気持ちと体が別々のところにあるみたいだ。
自分勝手なのは綾野だけじゃなく、あたしもそうなのかもしれない。
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