こんなかたちではじまる恋
「すいません。忙しいのに」

「ううん。営業部のみんなに比べたら全然いそがしくないから。」

「取引先に使う資料を作ってたんですけど、写真があったほうがいいかなと思って。」



綾野の口から出たのは仕事の話だった。
本当に仕事のことだったんだと安心する自分と、どこかで何かあるんじゃないかと期待していた自分がいた。
そんな忘れかけてた自分の中の戸惑いを感じる。


「ちょうど工場で確認しておきたいこともあったので、写真もと思ったんですけどひとりじゃ大変で」

「あたしは、撮影をすればいいのね」



綾野の話を聞いてあたしは確認するように返事をした。
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