こんなかたちではじまる恋
「さやか!待たせてごめん」



綾野があたしの気持ちを救ってくれた。



「あ、全然大丈夫」



あたしはそう答える。



「誰?知り合い?」



綾野は彼を見る。



「あ、うん。あたしのお友達の恩田さん」




そう彼を紹介する。



「どうも。恩田と申します」



彼はそう言って綾野に会釈した。続けて



「さやかとこの人は…?」



とたずねた。




「最近ね、お付き合いをはじめたの。…それじゃあ」




それだけ一気に言うと、綾野の腕を引っ張り歩き出した。



早くその場から消えたかった。
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