こんなかたちではじまる恋
曖昧
結局あたしはずいぶんと泣き続けて、終電を逃してしまった。
それでも綾野は文句も言わず、ずっとそばにいてくれた。



ロータリーのベンチにあたしを座らせた綾野は、あたしにあったかいミルクティーを買ってくれた。



「甘い物って気持ちが落ち着くから」



綾野はそう言った。



「重ね重ね…ごめんね」

「別に…」



あたしはゆっくりゆっくりミルクティーを飲んだ。
優しい甘さがあたしを少しずつ落ち着かせてくれた。



不思議だ。
ちょっと前まではこうして綾野と並んで座ることなんてしなかっただろう。
だけど、今は心地いい。


あの頃より、綾野のことを知ってしまったからだろうか。



『俺たち付き合いませんか?』



あの日の綾野の言葉を思い出す。




これじゃあ綾野の思うツボだ。
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