こんなかたちではじまる恋
「シャワー浴びたらどうですか?」



もやもやしてるあたしの耳に綾野の声が入ってくる。



「あたし、帰る。服どこ?」



長居なんかしてたくなかった。
事実を受け入れることなんかできないし、これ以上綾野といたら頭が余計にこんがらがりそうだった。



「服、今洗濯して乾燥かけてるところなんですよ。雨でびしょびしょだったんで」



しれっと綾野は言う。



「そんなぁ…」

「とりあえずこれきてください」



かけてあったシャツを綾野は渡した。
着るものがないならとりあえずこれを着るしかない。
裸でいるよりかはマシだ。



「ちょっと!着替えるからあっち向いて」

「はははっ。隠す必要ないでしょう、今更」



綾野のセリフにカチンとくる。



「い、いいからあっち向いて!」

「はいはい。わかりましたよ。俺は向こうの部屋行ってるんで」



そう言って綾野は部屋から出て行った。
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