こんなかたちではじまる恋
綾野に渡されたシャツのボタンを閉める。



「すっごいブカブカ…」



シャツワンピのような丈。指がすっぽり隠れてしまう袖。
そんな姿と今の自分に、情けなかった。



仕方なしに綾野のいるリビングへ向かう。



「とりあえずどうぞ」



綾野に水を渡される。



「…ありがとう…」



あたしの気持ちとは裏腹に、綾野がくれた水はあたしの渇いていた喉を十分に潤してくれた。



「相当飲んでたみたいだし、二日酔い気味なんじゃないですか?シャワー浴びたらすっきりしますよ。服も乾いてないですし」



綾野はそう言ってあたしのグラスに水を注いだ。



「うん…。じゃあシャワーお借りします…」



この空間に綾野と二人でいるよりは、シャワーに入った方がマシだ。
あたしは注いでくれた水を飲んで、綾野が教えてくれたお風呂場へ向かう。
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