こんなかたちではじまる恋
「おいって!俺が聞いてるんだから答えろよ!」



踊場で綾野に肩を掴まれた。





「もうこういうの終わりにしなきゃって思って!ただそれだけよ」





声がちょっとだけ大きくなった。



「なんで?」

「よくないでしょ、お互いに」

「なんで?」

「普通じゃない」

「好きなら問題ないだろ」

「問題ある!」

「何でだよ!!!」




なんでって。





『あの子は誰?』





そう聞けたらどんなに楽なんだろう。
だけど、あたしにはそれができない。
だってあたしたちは所詮そういう関係だから。



「もうあたしもこんなことしてる歳じゃないの!そう思ったら冷めたのよ」



それだけ言ってあたしは走った。
綾野がついてくることはなかった。
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