神様に私の全部を奪われた。【番外編】

そんな事を考える私の前で、沙優さんが傘を受けとるより早く扇李様が傘を一本受けとる


え…一本で、いいの？

「……あの」


「助かる」


「ありがとうございます」

「………」


「あ…いえ。あの、ですが…一本でよろしいのですか？」


「？…別に問題ない」


バサッと傘をあけると、扇李様は沙優さんの肩をだき、まるで大切なものを抱くように一つの傘に入る



「………あ」


そ、そっか…一本だけ受け取ったのは、そうゆうことか…なんか、素敵…



「では、我々は行く。紫音、次は夜会の時に会おう」


「……あぁ」

「また会いましょうね。凜さん」


「あ…はい」




そう言い、二人は頭を軽くさげ歩きだしていく


雨に濡れないように、しっかりと抱かれてる肩


それに、こころなしか沙優さんの方に傘は傾いてる


もう……最後の最後まで羨ましいな…


「………」


そんな二人を、ただ…呆然と見つめていると紫音さんは私の隣にたち、同じように二人の背中をみつめる



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