冬の花
目の前が少しずつぼやけていく
カランッ
私は桜木くんの浴衣を掴む
「待って、行かないで・・・。」
桜木くんは困惑しているのか動かない
私は涙を流しながらも
一生懸命桜木くんにしがみついていく
「私、も、ね。あの、ね。
桜木くんの、こと・・・・。」
最後の言葉がでてこない
こんなに体から思いが溢れてくるのに。
もう桜木くんの後ろ姿は滲んで見えないけど
涙は止まってくれないけど
今、言わなきゃっ
きっと後悔する
「私、も、桜木、くんの、こと、ね。
好き・・・・。」