冬の花
「五月蝿いっ。ぐすんっ。」
涼は現実だと更に言われたような気分なのだろう
完全に伏せてしまった
そんな涼はほっておき
俺は冬花が起きてないか心配になって
肩の方を見る
俺が起こしたくないのは冬花を独り占めしたいから
我が儘だけどね
冬花は悲鳴なんて聞こえていないのか
さっきと変わらず眠っていた
俺はそれを見て笑みがこぼれる
「好きだよ、冬花。」
冬花にしか聞こえないように呟いて
手を握った
冬花は俺の声が聞こえたのか
笑って手を握り返してくれる