冬の花
桜木くんはまだ背中をなでながら
意識が朦朧とする私に聞こえるように話す
「今、どんな感じ?
ゆっくりでいいから話して。
落ち着いて、大丈夫。」
桜木くんの言葉はどこか病院で聞くような台詞で
内心驚きながらも
本当は驚いてる余裕はないけど
私は取りあえず落ち着くことにした
だけど気持ちを落ち着かせようとする程に
呼吸は荒くなるばかり
それでも状況を桜木くんに伝えなきゃ
私は桜木くんの制服をぎゅっと握ってしがみつく
言葉はあるはずなのに声が出ない
私は力が入らなくなっていった