冬の花
「行かないで・・・。」
ちょこんっとつまんだ制服
ぎゅっと力を込める
さっきみたいな
でも、それとは違う胸の苦しさが私のなかに
桜木くんはつまんでいた私の指を制服から離し
苦しさで泣きそうな私を
見つめて顔をしかめる
「桜木くん、一緒居て。
遠くに行かないで。
私、一人が悲しくて寂しくて怖い。」
「うん。
うん。
俺は遠くに行かないよ
冬花の傍にいるよ。
冬花の悲しさ寂しさ怖さがなくなるまでずっと。」
私が泣きそうなのはいつもの事だけど
桜木くんが私以上に苦しそうに涙を堪えていた