冬の花
自分が不安がっているのが気配で分かったのか
「冬花の指が髪に触れるとドキドキしてさ。
ごめん、不安になったよな。
大丈夫冬花のせいじゃないから。」
視線を逸らしたまま恥ずかしそうに縮こまった
なんだ、良かった。
そう思うと同時に桜木くんはエスパーかなんかではないかと非現実的なことを思ってしまう
「謝らなくて大丈夫だよ。
ほら、もう乾いたから。」
私は立ち上がりドライヤーを片付け
紅茶を二人分淹れる
桜木くんは安心したように
椅子に座り、私を眺めていた
ちょっと恥ずかしい
とは思いつつテーブルに紅茶を置く
私たちは無言で紅茶を飲む
だけど、ちらりと目が合えば互いに笑いあう
それだけでこんなにも心が満たされて
幸せをいっぱい感じていた