冬の花


「冬花?大丈夫?」


美咲の声も遠くに感じる


怖いっ


恐怖心だけだ頭の中を閉めて
他の事は何も入ってこない


体が震えて何も出来そうにない





「冬花、落ち着いて。」



ぎゅっと握られた手




冷えていた手にぬくもりが
温かさが戻ってきて


少しずつ少しずつ

震えが止まっていった



静かになった部屋


外にぽつぽつと雨が降り始める



「雨、降っちゃったね。」


「うん。」


私は美咲の手を優しく握り返した

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