いちごみるくちょこ
「おい。着いたから降ろすぞ。」

「うん。」

あ!もう立てる!良かった。

「そうそう。忘れてた。手。」

「へ?」

「だから手、出せ。」

素直に手を前に出した。
手首がヒヤッとする。
シップ?

「俺が強くにぎってアザになってただろ?」

「気づいてたんだ。」

「まあな。」

じゃあこれも一緒に買いに行ってくれてたんだね。

「ありがとう!」

「ん・・・そういえばお前の家いつも電気ついてないけど親働いてんの?」

「あーうちね、親いないの。」

「は?」

「どっちとも事故で死んじゃたの。」

「・・・・」

「あ!気にしないでね。別に気にしてないし。
 じゃ、またね。言い忘れてたけど今日は助けてくれてありがとう。」

「おう・・・」





そのときのわたしは、本当は親のこと気にしてた。

親のこと聞かれたときだってすごく胸がいたくって

苦しかった。

そのこときっと斎藤龍は気づいてたよね。

それから親のことをぜんぜん触れなかった斎藤龍に

私はとっても救われたんだ。











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