いちごみるくちょこ
わたしは靴をぬいでゆっくり海に入る。

冷たい・・・けど足は止まらない。

水はひざ、腰、肩とどんどんつかっていく。

お父さんに会いたい。お母さんに会いたい。その気持ちがとまらない。

わたしが死んでも誰も悲しまない。

なら神様?死んでもいいよね?わたしなんかもう・・・死んじゃった方がいいよね?

亜美ちゃん。おばさん。おじさん。それから・・・斎藤龍・・・ばいばい。

そのとき・・・

バシャバシャバシャッ

ギュッ

後ろから誰かに抱きしめられた。

「何してんだよっ!」

「斎藤・・・龍?」

その声は斎藤龍だった・・・。

「何してんだよ!風邪ひくぞ!」

「放して!!もういいの!!わたしはもういいの!!」

「何がいいんだよ!よくねーよ!」

「いいの!わたしは死ぬの!放してよ!」

暴れて思いっきり抵抗する。

「放さねーよ!いいかげんにしろ!!」

思いっきり手を握られた。

「落ち着け・・・な?」

そのやさしい声に思わず涙があふれた。

「ヒックッ・・・お父さんとっ・・・お母さんに会いたいっ!」

「分かった。分かったから・・・」

「何でわたしなんかにやさしくするの!?・・・わたしみたいな人殺し!死んだらいいのに!わたしなんか死んだらいいのに!!」

「落ち着けっていってんだよ!」

「もういやぁ・・・」

「とりあえず・・・砂浜上がるぞ。」

そういってわたしを砂浜まで引っ張っていく。

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