いちごみるくちょこ
「で、それから近所の人に救急車よんでもらったんだよね。」


「救急車なんか呼ばなくてもよかったのに。」


「良くなかったよ!病院にいって手術してそれから1週間も意識がなかったじゃない!本気で心配したんだよ!?」


「俺が死ぬはずないじゃん!」


「もー!そうだ!ちゃんともう1つの約束も守ってね?」


「・・・もう1つ?」


「そ!わたしの病気治してくれるってやつ!今もお医者さん目指してるんでしょ?」

次に返ってくる言葉に耳を疑った。


「別に目指してないよ。」


「え?」


「目指さなくてもどーせ医者になるんだから。」


「・・・」

少し沈黙が続く。

カタンッカタンと本を整理する音が聞こえる。


「どっどうして・・・?」

わたしは勇気をを振り絞って聞く。


「手紙に書いてなかった?戸田の家は医者家系。だから俺は医者になって永愛は俺と結婚する。それで永愛は医者にならなくて済むって」


「どうして...?どうして医者になりたくないような言い方するの?」


「なりたくないよ。医者なんか」


わたしは今の彼方が信じられなくなった。


「どうしてそんなに変わったの!?昔はそんなんじゃなかった!もっと一生懸命で真面目で!昔は...」


「永愛は昔の俺が好き?」

彼方はわたしに悲しそうな目をして聞く。
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