いちごみるくちょこ
「意味わかんねーし。」

「とにかくわたし帰る!」

わたしは斎藤龍の真逆を向いて歩き出した。

「はぁー・・・じゃ、帰りになんかおごってやるからついてこい!」

「喜んでついていきます!」

わたしはクルッと斎藤龍の方を向きすばやく言った。それと同時に
斎藤龍がニヤッと笑ったのをわたしは見た・・・
完璧に物につられたわたし。
情けないよ・・・

「とりあえずなんか食べにいくから。」

「はいはい。」

そしてわたしは、気になっていることを斎藤龍に聞くことにした。

「ねえ、斎藤龍?」

「んだよ。」

「部活行かなくていいの?」

わたしが気になっていたことはこれ。
たしか亜美ちゃんが陸上の推薦で高校入ったって言ってた。
なのに毎日わたしと斎藤龍は一緒に帰ってる。

推薦ではいったのに部活は行かなきゃダメでしょ。

「・・・部活なんか入ってないから。」

「え?陸上の推薦で高校はいったんでしょ?噂できいたよ。
 なら陸上部に入ってるんでしょ?」

「噂だろ。デマじゃねーの。」

斎藤龍は冷たくいった。
そうなのかな・・・?けどなんか違う気がする。

「けどさ・・・斎藤龍。」

「けども何もねーよ。とにかく入ってない。」

「なんかうそっぽい!!ほんとのこと言って!」

「ッだから!」
グイッ

「キャッ!」
斎藤龍の顔が近い。
うでをひっぱられたんだ。

「いっ痛いからはなして!」

「入ってない。これ以上聞くな。分かったな。」

そのときの斎藤龍の目は怖くて
けどどこか悲しそうな目だった。

「わっ分かった。」



手を離してくれた・・・
痛い・・・

握られたとこアザになってるよ。

斎藤龍はさきさき歩いている。
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