チョコレート
「ぜひ。教えていただきたい。」

私はいたずらっぽい言い回しをした自分が急に恥ずかしくなり、さっと下を向いた。
髪をかけるフリをして耳を触る。

熱い。

私は俯いたまま一気に言った。
「あおです。あおって読みます。よくみどりって言われるんですけど…」

宮本先生は私の髪を触りながら
「すごく綺麗な名前だね。」
と言った。

「綺麗だなんて…初めて言われました。」

「すごく綺麗だよ。」

さらりと言った彼の言葉が私の胸を締め付ける。
心臓の音が聞こえてしまうかもしれない。
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