明日の空へ〜キセキの跡〜
「点滴射ちましょうねー」
聞き慣れた言葉。
何度聞いてきただろうか。
「…つっ」
何度やっても慣れない
注射の痛み。
「はーい終わりっ
今日天気がいいから
外でごはん食べましょっか
桜もきれいだしね」
そう、今は4月の初めごろ。
もうすぐ私は高校生になる。
どうせ行けないだろうけど。
受験勉強は必死にして
なんとかレベルの低い高校に合格した。
いけないから意味ないと思ったけど、
もしかしたら…―――
と思って受けた。
信じている自分と
諦めている自分が
交差しあって
もめている気がした。
「ゆうこさん、中庭行こっ
桜がきれいに見えるとこ!」
「じゃあ行きましょっか」
「うん」
こんな日常的な事が
私にとっては幸せに感じた――――――……