晴の思い出


チケットの地図を頼りにライブハウスに行くと、人混みがすごいから一番後ろに立っていた。

紫外線も平気だから案外良い場所かも。


「ライラックの歌マジ好き〜」

「メンバー全員イケメンだしね!」

「私は夏狙いなんだ♪」

近くの女の子たちが話してる。
誰?ライラックって。バンドの名前?てかわざわざライブハウスに来て、男の顔しか興味ないのかよ。

「もうすぐライラック始まるよ!前行こう!」

周りの女の子はどんどん前に行く。

ちょうど9時過ぎ、バンドのメンバーがステージに上がって来た。

「どうも、ライラックです!今日は楽しんで行ってね!」

ライラックの夏って、爽やか好青年のことだったんだ。ギター持ってステージに立っている。

演奏が始まりボーカルが歌いだす。

演奏も歌も嫌いじゃない。


ただ近くの女の子が"メンバーの誰派?"ってくだらない話しをしてて不快だった。

ステージを見ると爽やか好青年と目が合った。ビックリした顔されても困る。一応誘われたのに。


「今日はいっぱいお客さんが来てくれて嬉しいです!」

1曲目が終わってボーカルが話しだす。

その間ずっと、爽やか好青年は私の方をチラチラ見て来る。

…ナンパだったの?
それにホイホイやって来た私ってバカ?
最悪。


ムカついたけど最後まで見て行こう。





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